全国1,820町の「地震の多さ」を集計したら、まったく違う3つの顔が見えてきた

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全国1,820町の「地震の多さ」を集計したら、まったく違う3つの顔が見えてきた

2026年9月9日

気象庁は「震源データ」として、1919年から現在までに発生した地震の震源(緯度・経度・深さ・マグニチュード・最大震度など)を、1件ごとに記録・公開しています。今回、オープンデータAPI「opendataapi.jp」経由でこのデータ(507万9,247件)を取得し、MACHI.が保有する全国1,820町の座標と突き合わせて、「その町から半径50km以内で、過去30年間(1994〜2023年)にマグニチュード5.0以上の地震が何回発生したか」を町ごとに集計しました。

単純に回数の多い順に並べると、上位を福島県浜通りの町(楢葉町108回、広野町103回、いわき市101回、富岡町97回、大熊町87回)が独占する結果になりました。これは一見「地震の多い町」に見えますが、実態は違います。2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)とその余震群を、そのまま「その町の地震の多さ」として数えてしまっているだけなのです。巨大地震が1つ起きれば、その周辺では数年間にわたって余震が続きます。これを単純に集計すると、「地震が多い町」ではなく「1つの巨大地震の近くにあった町」を測っていることになり、統計として誠実ではありません。

!M5以上の地震回数(半径50km・1994〜2023年)単純集計Top10 ※上位は福島県浜通りの町が独占。2011年東北地方太平洋沖地震の余震群の影響がそのまま表れている。

そこで、東北地方太平洋沖地震の発生から5年間(2011年3月〜2016年3月)を除外して、もう一度集計し直しました。すると、まったく違う顔ぶれが浮かび上がりました。上位を占めたのは、東京都の神津島村・新島村・三宅村・御蔵島村(伊豆諸島)、そして千葉県栄町・印西市・佐倉市、茨城県河内町・龍ケ崎市・稲敷市・利根町・美浦村・行方市・阿見町でした。

!M5以上の地震回数(半径50km・1994〜2023年)2011年余震を除いたTop10 ※2011年の余震5年間を除くと、伊豆諸島と茨城・千葉のプレート結節点エリアが上位に浮かび上がる。

この2種類の「多い」には、まったく異なる地質学的背景があります。

伊豆諸島が上位を占めるのは偶然ではありません。2000年に発生した「新島・神津島・三宅島群発地震」は、地下でマグマが水平方向に移動する「ダイク貫入」という現象を伴い、数万回規模の群発地震と三宅島の噴火(全島避難)を同時に引き起こしました。この地域の地震は火山活動と切り離せない関係にあります。実際、MACHI.が別途まとめた全国の活火山111一覧にも、三宅島・新島・神津島・八丈島・青ヶ島が名を連ねています。地震データと火山データが同じ町を指し示しているのは、地質学的に整合性のある結果だと言えます。

一方、千葉県北部・茨城県南部のベルト地帯(成田国際空港を取り巻くエリア)が上位に固まっているのは、一般にはあまり知られていない事実です。この地域の地下では、太平洋プレート・フィリピン海プレート・北米プレートという3枚のプレートが複雑に重なり合う構造があり、単一の巨大地震の余震ではなく、日常的・慢性的な地震活動が続いています。この一帯は首都圏の空の玄関口でもあり、「めったに起きない激震」ではなく「頻度は高いが個々は中規模」というリスクの質が、防災上重要な意味を持ちます。

もう一つ、今回の集計で見落としてはいけない点があります。高知県土佐清水市・須崎市など、南海トラフ沿いの町の多くが、この30年間でマグニチュード5以上の地震が「ゼロ」という結果になったことです。これは「安全な町」を意味しません。南海トラフ巨大地震は概ね100〜150年周期で発生してきており、前回の1946年昭和南海地震から、すでに80年近くが経過しています。プレート境界が固着してひずみを蓄積している期間は、地震学では「地震空白域」と呼ばれ、次の巨大地震に向けたエネルギーが静かに蓄積されている期間だと考えられています。30年間のデータだけを見て「地震が少ない町」を「安全な町」に読み替えることは、南海トラフ沿岸の町に関しては、特に注意が必要な誤読です。

MACHI.としての受け止めを述べます。「地震の多い町ランキング」という一つの数字だけでは、この3つの異なる物語、巨大地震の余震、プレートの結節点での慢性的な活動、そして次の巨大地震に向けた静穏期を、区別することができません。ある町の地震回数が多いのか少ないのか、その背景に何があるのかを合わせて見ることが、データを正しく読むうえで欠かせないと考えています。お住まいの地域、あるいは移住や旅行を検討している地域について、避難所の場所やハザードマップと合わせて、こうした背景も含めて確認してみることをおすすめします。

FURUSATO TOKUSHU

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この記事はMACHI.編集部が中立的な立場で執筆しています

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