「期間50年」住宅ローンに金融庁が監視強化。マンション価格2.24倍時代の背景を、全国の所得データで見る

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「期間50年」住宅ローンに金融庁が監視強化。マンション価格2.24倍時代の背景を、全国の所得データで見る

2026年9月8日

2026年9月8日、片山さつき金融担当相は閣議後記者会見で、返済期間が40年・50年といった超長期の住宅ローンを取り扱う金融機関に対する監視を強化する考えを示しました。「超長期の住宅ローンは金利が上昇した場合、支払額が大きく増加することがあり得る」と指摘し、貸し手側に利用者への十分な説明を求めています。金融庁は近く公表する金融行政方針でも、超長期住宅ローンへの懸念を打ち出す方針です。

なぜ今、期間50年という選択肢が急速に広がっているのでしょうか。背景にあるのは、2013年の日銀による金融緩和以降続くマンション価格の高騰です。都市部を中心にマンション価格は上昇を続け、2025年時点で2010年比およそ2.24倍の水準に達しています。物件価格が上がれば、同じ返済期間では月々の負担も比例して重くなります。その負担を抑える手段として、返済期間そのものを延ばすという選択が広がってきました。

実際、2026年7月に50年ローンを開始したPayPay銀行では、20代の70%、30代の49%が35年を超える返済期間を選んでいます。20代・30代は今後の昇給余地はあるものの、現時点での年収や頭金が十分でないケースが多く、審査を通すために返済期間を延ばさざるを得ない、という事情も指摘されています。

一方で、返済期間を延ばすことは総支払額の増加と表裏一体です。6000万円を金利0.75%で借り入れた場合の試算では、35年返済なら総利息は823万円程度である一方、50年返済では1,197万円程度まで膨らむとされています。月々の負担は軽くなっても、支払う利息の総額は数百万円単位で増える計算です。加えて、30歳で50年ローンを組めば完済は80歳。定年後も返済が続く可能性や、将来の金利上昇によって返済額そのものが増えるリスクも、金融庁が「顧客への説明を注視する」とした理由の一つです。

こうした住宅ローンの選択は、実際には地域ごとの所得水準と切り離して語ることができません。MACHI.が保有する全国1,673市区町村の平均課税所得データで見ると、全国平均は307万円です。最も高い港区は1,471万円、逆に最も低い西目屋村は223万円と、実に6倍以上の開きがあります。同じ「マンション価格2.24倍」という全国共通の値上がりでも、それを所得に対してどれだけ重く感じるかは、住む町によって大きく異なるということです。

また、持ち家率のデータ(全国平均68.8%)を重ねると、地方の町では9割超が持ち家という地域が珍しくない一方、都心区では賃貸文化が根付き持ち家率が2〜3割台にとどまる区もあります。都心の持ち家率の低さは、単に「賃貸を好む人が多い」というだけでなく、マンション価格の高さそのものが持ち家取得のハードルを上げている結果とも読み取れます。超長期ローンが都市部の若年層を中心に広がっている背景には、この価格と所得のギャップを埋める必要があるという構造があると考えられます。

MACHI.としての受け止めを述べます。超長期の住宅ローンそのものを一律に否定すべきものだとは考えていません。月々の返済負担を抑えて希望のエリアに住むという選択には合理性がありますし、実際に若い世代が持ち家を取得する手段として一定の役割を果たしています。ただし金融庁が指摘する通り、金利上昇時の負担増や、老後の返済継続というリスクは、契約時点では実感しにくいものです。特に今回のように長期金利や政策金利の変動が話題になっている局面では、「今の返済額」だけでなく「金利が上がった場合の返済額」まで確認した上で判断することが、これまで以上に重要になってきていると言えるでしょう。

どの町に住むか、どれだけの住宅ローンを組むかという判断は、最終的には個々の家計の状況によります。ただ、自分の住む(あるいは住みたい)地域の所得水準や持ち家率が全国的に見てどのあたりに位置するのかを、実データとして把握しておくことは、超長期ローンという選択肢と向き合う上でも意味のある判断材料になるはずです。

FURUSATO TOKUSHU

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この記事はMACHI.編集部が中立的な立場で執筆しています

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