地域史
秋田県、30年の物語――12年連続「人口減少率全国最大」の一方で、公立大学が世界ランキングに挑む
2026年8月2日
総務省が2025年4月に公表した人口推計によると、2024年10月1日時点の秋田県の人口は89万7千人で、前年から1万7千人減少しました。減少率は1.87%(前年から0.12ポイント増)で、これは12年連続で全国最大の減少率です。死亡数が出生数を上回る自然減少率も1.56%と全国最高で、少子高齢化が最も先鋭的な形で表れている県の一つです。全国的にも人口減少率1%以上の県は18県に増えていますが、秋田県は長くその先頭を走り続けています。
人口という数字だけを見れば厳しい現実が続く秋田県ですが、教育の分野では異色の成功事例が生まれています。2004年、日本初の公立大学法人による単科大学として開学した国際教養大学(AIU)です。全授業を英語で行い、1年間の留学を原則必修とし、学生の4人に1人が留学生という「多文化共生」を掲げるキャンパスは、海外52か国・地域の208校と交換留学協定を結んでいます。開学からわずか20年ほどで、東大・京大と並ぶ大学ランキング上位校として名前が挙がるまでになりました。
AIUの卒業生の中には、地元に戻って地域貢献に取り組む動きも出ています。仙北市角館町の外町(とまち)エリアでは、卒業生が設立した企業が空き家・空き店舗を活用した新しいビジネスモデルづくりに取り組んでおり、大学が育てた人材が県内の過疎地域に還流する試みが始まっています。地方の小さな公立大学が、留学生の受け入れと地元定着という二つの流れを同時に生み出そうとしている点は、他の地方大学にはない特徴です。
12年間、全国最大の人口減少率という不名誉な記録を更新し続ける県と、その同じ県から生まれ世界レベルの評価を得る大学。秋田県のこの30年は、数字の上では最も厳しい縮小に直面しながら、教育という一点で新しい人の流れをつくろうとする挑戦が同時に進んできた歳月です。
この記事はMACHI.編集部が中立的な立場で執筆しています
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