山形県、30年の物語――ピークの半分になる人口予測と、鶴岡発クモの糸ベンチャーの挑戦

地域史

山形県、30年の物語――ピークの半分になる人口予測と、鶴岡発クモの糸ベンチャーの挑戦

2026年8月1日

山形県の総人口は1950年(昭和25年)の約135.7万人がピークでした。その後は一貫して減少局面が続き、2020年の国勢調査では106万8,696人まで減少。県が公表する「山形県人口ビジョン」の推計では、2050年には約71万人まで減り、ピーク時のおよそ半分の規模になる見通しが示されています。全国的な人口減少県の中でも、県自らがこの長期トレンドを正面から公表している点は特徴的です。

一方で、この状況に真っ向から挑む企業が県内から生まれています。2007年、鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所発のベンチャーとして創業したSpiber(スパイバー)株式会社です。クモの糸に着想を得た構造タンパク質素材「Brewed Protein」を、植物由来の糖類を原料に微生物発酵で生産する技術を開発し、化石燃料に頼らない新素材として注目を集めています。未上場ながら推定評価額は1,723億6,500万円に達し、現在はタイ・ラヨン県での量産プラント稼働や、米国ADM社との協業による量産体制構築など、世界規模での事業展開を進めています。地方の一地方都市発の技術ベンチャーが、グローバル企業と肩を並べる規模に成長した例です。

山形県を象徴する農産物、さくらんぼにも変化が及んでいます。2024年産の収穫量は、農林水産省の作況調査で平年比9%減という結果になりました。開花期から収穫期にかけての気温上昇が生育に影響したとみられ、全国生産量の7割超を担う産地であっても、気候の変動から自由ではいられない現実を映しています。

135.7万人から71万人へ――半分近くまで縮むと自ら予測する人口動態と、その足元から世界に挑むバイオベンチャー、そして気候の影響を受け始めた伝統産品。山形県のこの30年は、避けようのない縮小のトレンドと、その中で新しい強みを模索する動きが同時に進んできた歳月です。

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この記事はMACHI.編集部が中立的な立場で執筆しています

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