北海道、30年の物語――静かな農村だったニセコが、世界のリゾートになるまで

地域史

北海道、30年の物語――静かな農村だったニセコが、世界のリゾートになるまで

2026年7月14日

1980年代後半のニセコは、外国人の姿もまばらな、ごく普通の農村でした。札幌の大学生や家族連れが訪れる、素朴な夏の避暑地。それが1990年代に入り、オーストラリア人がニセコのパウダースノーの価値に気づいたことで、状況は大きく変わり始めます。2000年代初頭からは冬のスキーリゾートとしてオーストラリア人の間で広く知られるようになり、不動産価格は高騰。円安の追い風も受けて、東南アジアやヨーロッパ、アメリカからも観光客が訪れる、世界的なリゾート地へと成長しました。ニセコを訪れる観光客数は2019年に約175万2千人と過去最多を記録し、コロナ禍で一時94万人まで落ち込んだものの、その後の回復も進んでいます。

交通インフラも、この30年で大きく変わろうとしています。北海道新幹線の延伸が進めば、東京から釧路まで約5時間で到達できるようになり、関東圏からのアクセスが現実的な選択肢になります。ニセコ周辺でも、余市から倶知安への高規格道路の延伸が進められ、札幌から倶知安までの所要時間は約120分から90分程度に短縮される見込みです。まちとまちの距離そのものが、縮まりつつあります。

一方で、北海道全体では人口減少という課題からは逃れられていません。若い世代が就職や進学のために道外へ出ていく傾向が続き、働き手世代、とりわけ地域の将来を担う若い人材の減少が懸念されています。リゾート地としての国際的な成功と、道内全体の人口減少は、同じ北海道の中で同時に進んでいる、対照的な現実です。

そんな中、1992年に生まれた新しい祭りがあります。「YOSAKOIソーラン祭り」です。北海道大学の学生だった長谷川岳さんが、高知の「よさこい祭り」に感動し、道内16大学の学生150人を集めて始めたこの祭りは、第1回はわずか10チーム・参加者1,000人・3会場という小さな規模でした。それが今では約270チーム・27,000人の参加者と、約200万人の観客が集う一大イベントに成長しています。伝統がないところから、30年あまりで新しい「まちの誇り」が生まれた、稀有な例です。

静かな農村が世界のリゾートになり、まったく新しい祭りが200万人を集めるまでに育った一方で、道内の人口減少という重い課題も抱えている。北海道のこの30年は、光と影が同時に進んできた歳月でした。

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この記事はMACHI.編集部が中立的な立場で執筆しています

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