地域史
福岡県、30年の物語――政令市トップの人口増加率と、700年続く祭りの熱気
2026年7月14日
日本全体が人口減少に向かう中、福岡市は異色の存在です。政令指定都市の中で人口の増加数・増加率ともに1位。2015年から2020年にかけて、全国の政令指定都市の中で経済が最も発展したのも福岡市だったとされ、人口増加率では東京23区をも上回るペースで成長を続けています。2040年までさらに人口が増え続けると見込まれており、日本全体が縮小する時代に、福岡だけが違う時間軸で動いているようにも見えます。
この成長を後押ししたのが、2015年に始動した「天神ビッグバン」です。福岡市中心部のオフィス街・天神地区で、老朽化したビルを次々と建て替える大規模な再開発プロジェクトで、開始から10年ほどが経った今も進行中です。スタートアップや起業家向けの育成施設が官民両面で整備され、若い企業が育ち、大規模オフィスのテナントとして根を張っていくという好循環が生まれつつあります。福岡市の開業率は3年連続で全国1位、企業誘致件数も8年連続で50社を超えており、「スタートアップ都市・福岡」という呼び名は、単なるキャッチフレーズではなく、数字に裏打ちされた実態になっています。
こうした変化を支えているのが、自治体が主導するIT人材教育や、企業がビジネスをしやすい仕組みづくりです。行政と民間が同じ方向を向いて動いてきたことが、この30年の福岡の成長曲線を形づくってきたと言えるでしょう。
一方で、福岡の街には700年以上変わらず受け継がれてきたものもあります。博多の総鎮守・櫛田神社の神事「博多祇園山笠」です。重さ約1トンの山笠を担いだ男たちが、コースを全力で駆け抜ける「追い山」は、祭りのクライマックスとして今も多くの見物客を熱狂させます。オフィスビルが次々と建て替わる天神から目と鼻の先で、700年変わらない祭りの熱気が続いている。この新旧の共存こそが、福岡という街の面白さかもしれません。
人口減少時代に一人成長を続ける都市と、700年続く祭りの熱気。福岡県のこの30年は、「新しい福岡」と「変わらない福岡」が、同じ街の中で手を取り合ってきた歳月でした。
この記事はMACHI.編集部が中立的な立場で執筆しています
他のコラムを見る